佃煮の起源は、古く江戸時代にさかのぼります。
摂津の国、佃村の漁民が保存食として近海で獲れる小魚を塩水で煮込んで作ったのが始まりで、それがたまたま将軍の食膳に供され美味とおほめに預かり、褒美に江戸の墨田川河口の小島、佃島に土地を与え一部を移住させました。
移住した漁民は、江戸湾岸の漁業権を持って魚を獲り生で、或いは塩煮にして江戸町民への食糧供給を業としました。
天文4年(1535年)紀州湯浅に従来なかった新しい調味液、醤油が誕生しました。
醤油が佃煮にも使用され、塩の代わりに醤油を使うと見映えも良く、味も良く保存も よい、三拍子揃った煮付けが出来上がったのです。
以来その評判が伝わり諸国に佃煮が庶民の副食として普及したと言われております。
当時は、近海で獲れる海老、貝類、小魚であったのが江戸時代の後期にみりん、砂糖が出回ると次第に山の幸、湖や河川の魚介類、野菜類豆類と種類も多彩なものとなり各地名産佃煮として欠かせぬ存在となって来ました。
伝統の味「佃煮」は日本人の嗜好食品として時代と共に愛される道を歩んで来たのです。
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